第2回総会(平成13年4月24日開催)講演摘録

「USJプロジェクトと関西における都市開発の動向」

講師:長尾 秀樹氏(日本政策投資銀行 関西支店次長兼企画開発課長)

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1.USJプロジェクトの政策的意義

関西経済の自立的回復に向けた官民あげてのキープロジェクト
民間の所有する工場跡地の土地利用転換を図り、土地区画整理事業により整備している。土地所有者である民間事業者が協力し、定期借地方式にすることで土地のコストを薄めている。

世界的にも魅力度の高いコンセプトに基づく集客効果及び周辺地域開発による経済波及効果
国際集客都市を目指し、USJから大阪市・大阪府、関西全域への拡大を目指す。

映像、マルチメディア、ソフト産業など関西における新産業創出効果
USJが上記産業の集積の鍵を握るプロジェクトとなっている。最近では、大阪商工会議所等が中心となり、映画撮影のロケ地の誘致等、プロモーション活動も積極的に行っている。

2.USJの整備を通じた今後の関西地域の都市開発を占うポイント

これからのファイナンスは、プロジェクトファイナンス(※)が主流となり、資金の出し手、受け手双方で、リスクの分析・管理等が重要となる。
PPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)による官民協働の取組が重要である。
土地コストの処理の仕方も変わってきている。従来型の買収方式ではコストがかかり、成り立たなくなってきているため、定期借地が採用されている。

京都市における都市開発等のプロジェクトでは、二条駅前の文化施設(シネマコンプレックス)の整備が、USJと同様、定期借地事業を採用しており、第3セクターが主体となり事業が進められている。

※「プロジェクトファイナンス(事業融資)」
保有資産等を担保としていた従来の融資(コーポレートファイナンス(企業融資))に対し、プロジェクトファイナンス(事業融資)では、償還は、当該事業から生み出される収益によるため、事業を継続させていくための事業に係る資産・権利が担保となる。
事業収入が安定していることがプロジェクトファイナンスの条件となり、これまではエネルギープラント等の事業に適用されてきた。入場料収入に左右されるテーマパークではUSJが初のプロジェクトファイナンスの適用となり、そのスキームは注目されている。